2015.02.25更新

新宿区四谷の弁護士水野智之です。

今日は遺産分割の話題です。

遺産分割で問題となることというと,以前書いた使途不明金問題と並んで寄与分が挙げられます。

寄与分にはいくつかの類型があるのですが,今日はいわゆる療養看護型の寄与分について書いてみます。

 

療養看護型とは,分かりやすく言えば,相続人が被相続人の身の回りの世話を行なったことにより,付添い看護の費用の支出を免れさせるなどして,相続財産の維持に寄与した場合を言います。

こういわれると,私も身の回りの世話をしたのだから寄与分は認められるのではとお考えになる相続人の方は多いと思います。実際,寄与分の中では一番主張しやすい類型でしょう。

しかし,療養看護型の寄与分が認められるのはなかなか困難です。

まず,家庭裁判所からはいくつかの要件がないとダメだといわれます。

具体的には

① 療養看護の必要性

療養看護を必要とする病状であったことが必要です。ただ単に高齢で介護が必要という程度ではだめです。また,入院していたり,施設に入所していた場合にはその期間は原則認められません。要介護2程度以上(要介護2乃至5)の状態に関する療養看護が必要といわれています,資料として要介護認定通知書や認定調査票が求められます。

② 特別な貢献

被相続人との身分関係において通常期待される程度を超えた特別の寄与が必要です。子供であれば親の面倒を見るのはある程度当たり前というのが家裁の考え方なのです。

③ 無償性

療養看護は無報酬またはそれに近い状態でなければなりません。面倒は見ているけれども,生活費は被相続人から出してもらっているという場合であれば,認められないことが多いです。

④ 継続性

少なくとも1年以上は療養看護をしている必要があります。

⑤ 専従性

仕事のかたわら看護したような場合ではだめで,介護に専念したといえることが必要です。

⑥ 財産の維持または増加との因果関係

療養看護により,付き添い看護の費用の出費を免れたという結果が必要です。

 

なお,寄与をしたのが相続人ではなく,相続人の妻というケースも考えられますが,この場合には特別の寄与があったと認められる可能性は十分あります。

もっとも,療養看護型の寄与分は認められたとしても,遺産全体の20%を超えることはまずありません。

療養看護型の寄与分はめったに認められるわけではないので,この類型の寄与分を主張される方はその点も念頭に置かれた方がいいでしょう。

 

 

投稿者: 弁護士 水野 智之