2015.03.02更新

新宿区四谷の弁護士水野智之です。

さて,妻の側から離婚を請求するときに,財産分与の対象として退職金も含めることがあります。

特に,40代前半から50代くらいの離婚で,夫が長年同じ会社に勤めているような場合には,退職金が財産分与の対象となるか問題となることが多いです。

 

退職金の一番大きな問題点は,現段階では支給されておらず,将来退職したときにもらえるものであるという点です。

当然,夫側からは,まだ退職金をもらっていないのに何でお金を渡さなきゃならないのかという不満がありますし,妻側からは,私は夫のために家事・育児をして支えてきたのに,退職金だけは夫が独占するのはおかしいだろうという不満があります。

私は妻側の代理人として退職金を請求したことも,夫側の代理人として退職金を請求されたこともいずれもありますが,家事実務の運用としては,退職金は財産分与の対象に含まれる可能性が高いといえます。

この場合,退職金の算定は,別居時に自己都合退職した場合の退職金相当額とされることが多いです。

 

さて,妻側から退職金を請求するにしても,話をまとめるためには一工夫したほうがいいです。

上記のように,退職金は今手元にあるお金ではありません。また,もしかすると,リストラや会社の倒産などが起こらないとは言い切れません。そういった不安要素を相手方が抱えているということも斟酌して,多少の減額をするとか,分割での支払いも広く許容するといった方法であれば,話がこじれずに済みます。

実際,こういった話の持っていき方で,退職金を財産分与の対象とすることに合意が成立し,先方から現在も支払ってもらっている案件がいくつかあります。

 

他方,夫側の場合,退職金を請求されたときには,現段階で支給されていないことを強く主張しながらも,減額や分割払いの方向を模索すべきでしょう。

一番よくないのが,争うだけ争って,判決で一括払いを命じられてしまうことですから。

 

投稿者: 弁護士 水野 智之